2016年1月スタートの新ドラマの中でも、本格派ラブストーリーとして期待される「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」が始まりました。
脚本家は坂元裕二さん。ラブストーリーの傑作として有名な「東京ラブストーリー」(1991年)をはじめとして、これまで月9ドラマを9本手がけ、今回が「最後の月9恋愛ドラマ」と言われています。
今を生きる若い群像たちのラブストーリーとして、若者だけでなく、大人も胸が切なくなる恋愛ドラマが期待されます。
第1話のサブタイトルは、「失くした手紙が繋いだ奇跡・・・二人は出逢った」です。
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」第1話のあらすじ
公園に咲く小さな白い花に向かって、「お年玉返すから、お母さん返してほしい」とつぶやく女の子・杉原音(平澤宏々路)。
胸には白い遺骨を抱いている。その時、「おと」と呼ぶ母親らしき女性の声が聞こえ、思わず振り返る。
しかし、そこにいるのは厳しい顔をした一人の初老の男だった。
母親を病気で亡くし、一人ぼっちになった杉原音(平澤宏々路)を迎えに来た養父・林田雅彦(柄本明)は、「あんた、今日から林田音になるんだ。おじさんとこの子供になるんだ」と軽自動車に音を乗せる。
車の中で、無邪気に白い骨壺にカラーペンで絵を描いていく音(平澤宏々路)。
「ブドウの花はブドウの味がする。バナナの花はバナナの味がする。お母さんが言うとったけど、ほんまやろか」と関西弁で喋る音(平澤宏々路)に、「関西弁は直しなさい」と言う雅彦(柄本明)。
自動車で連れて行かれた先は、一面雪で真っ白な北海道の大地だった。
時は経ち、2009年の秋。
古びたアパートの部屋で布団に横たわる曽田練(高良健吾)の目からは何故か涙がこぼれている。
目を覚ました練(高良健吾)に「また、嫌な夢みた?」と心配気に見つめ、キスをする日向木穂子(高畑充希)は恋人同士だった。
「休みとれたら有給とったのに。私これからぎゅうぎゅうの地下鉄乗るっちゃん。何も喋らんと帰らすと」と九州訛りで話す木穂子(高畑充希)。
帰って行った木穂子と入れ違うようにして、北海道を旅していた悪友の中條晴太(坂口健太郎)がやってくる。
「今の子、練くんの彼女?東京にいる間は泊めてね」と強引に部屋に上がり込む。
晴太は「北海道から帰るお金が無くなって」と盗んできた茶色いカバンを畳に放り投げる。
練(高良健吾)は運送会社で引っ越しの仕事をしている。
先輩や社長からこき使われ、夜遅くアパートに帰ってくると、晴太は寝ており、部屋には晴太が盗んできたバックの中身が散らかっていた。
練(高良健吾)はバックから飛び出ていた一枚のポイントカードを拾う。
「森田クリーニング店」と書かれたポイントカードの住所欄には「北海道苫小牧市八羽根町」、名前は「林田音」と書いてあった。
さらに、カバンの中を見ると白い封筒があり、中には1通の手紙が入っていた。
手紙を開くと、「音へ・・・」との書き出し。
手紙を読み進めていく練(高良健吾)は、その内容に、「これ、どこで盗んだの!これ、この人の大事なやつだよ」と晴太(坂口健太郎)に食ってかかる。
すでに深夜になっていたが、練(高良健吾)は会社のトラックでポイントカードに書いてある住所まで、その手紙を届けに行こうとする。
八羽根町のクリーニング店で働く音(有村架純)のところへやって来た練(高良健吾)。
「ちょっと、お尋ねしたいんですけど。この人わかりますか。林田音さん?」とポイントカードを見せる。
それを見た音(有村架純)は、自分のカバンを盗んだ泥棒だと勘違いし、「林田音さん、亡くなりました。お金盗まれたショックで。盗んだ人のことすごく恨んで」と嘘をつく。
思わず「お墓どこですか」と聞き返す練(高良健吾)に、音(有村架純)は適当な方向を指さすだけだった。
帰ろうとする練(高良健吾)の後ろから、長い物差しを抱えながら音(有村架純)がついて来て、「あなた何?」と怪訝な表情で尋ねる。
「東京から来たんですけど」と練(高良健吾)。
「林田音さんに何か用ですか」と聞く音(有村架純)。
練(高良健吾)はカバンを渡そうとするが、「泥棒!」と怒鳴られ、さらに財布を渡すと、「使った?2060円入ってたでしょ」と疑われる。
「自分はこれを届けに来ただけで、とったのは別の泥棒で・・・」と釈明する練(高良健吾)。
すると、音(有村架純)は裏返してた名札をひっくり返して、自分が音であることを名乗る。
練(高良健吾)が2060円を立て替えて返すと、音(有村架純)は飴を1個差し出し、「食べ」と関西弁で言う。
帰ろうとする音(有村架純)に「まだあります」と手紙を渡そうとする。
「読んだら絶対返さなきゃいけないやつだと思って。この人のつっかえ棒なんじゃないかと思って。返します。お母さんからの手紙」
手紙を返そうとするが、音(有村架純)は「捨てといて」と受け取ろうとしなかった。
音(有村架純)が、スーパーからの買い物から帰ってくると白井篤史(安田顕)が家にやって来ていた。
養父(柄本明)は本人の了解もなしに、25歳年上の資産家(白井ファーム牧場の所有者)の白井篤史(安田顕)との結婚話を進めていたのだった。
42インチのTVや高級腕時計をもらい喜ぶ養父(柄本明)。
談笑する二人の隣の部屋には養母(大谷直子)が床に伏していた。
養母は要介護状態にあり、音(有村架純)は痛がる養母の体をさすってあげるのだった。
練(高良健吾)は、たまたま入った飲食店で焼きそばを食べていると、店主から「東京のお兄さん。音の知り合い?音はいい人いて、近いうち結婚するんだから」と聞かされる。
夜、川べりにトラックを停め仮眠する練(高良健吾)。
近くでコンと響く音が聞こえ、目が覚めた練(高良健吾)がトラックを降りて音の聞こえる方へ行くと、音(有村架純)が向こう岸から電信柱に石を投げていた。
練(高良健吾)の姿を見た音(有村架純)は、練(高良健吾)に向かって大きな声で「どろぼう!」と叫ぶ。
「引っ越し屋です」と弁明する練(高良健吾)。
「りんご持ってる?」と聞く音(有村架純)。
首を横に振り怪訝そうな顔をする練(高良健吾)に対し、りんごを頭に乗せたふりをして、それに石を当てるというジェスチャーをする音(有村架純)。
「なんでいろいろ振るの。首押さえて」と音(有村架純)は笑いながら言うのだった。
向こう岸から橋を駆けて来た音(有村架純)は、トラックの荷台を見て「何が入ってるの」と聞く。
そこには桃の缶詰が一杯に積み込まれていた。
音(有村架純)は練(高良健吾)に飴を差し出す。
「飴食べ」
「何してたんですか」と不審がる練(高良健吾)。
「別に」と素っ気ない返事の音(有村架純)は「気をつけて帰りや」と言う。
橋を駆けて来た姿をみていた練(高良健吾)は「足速いんですね。お母さんと同じですね」と言うと、「捨てた?」と音(有村架純)。
「俺、あんなの捨てられないです」とためらう練(高良健吾)に音(有村架純)は、「来る?」と誘う。
柵を乗り越えて行く二人。
「昔、ここにダムができるはずだったの」と音(有村架純)。
反対運動があって10年前に途中で建設中止になった場所だった。
「子供だったけど中止になってがっかりしたよ。こんな町ダムの底に沈んだらよかったと思ってたから」と投げやりな音(有村架純)に、「結婚、断れないんですか」と尋ねる練(高良健吾)。
「杉原音は私の想像の湖の中に沈んでん。私はもう林田音。一生この町に残るねん」と音(有村架純)。
後ろを振り返る二人。
里山の頂上からは朝陽がまぶしく輝いて見えた。
朝方、家に帰り、母の遺骨を置いている机の前に座る音(有村架純)に、布団に横になっていた義母(大谷直子)が「いつまでも強情を張って。無縁墓地に入れればいいのに」と言う。
「ごめん」と謝る音(有村架純)。
ある日、クリーニング店で音(有村架純)は「シングルマザーの伊藤さんが3か月もクリーニングを取りにきてないから届けてきて」と店の人から頼まれる。
伊藤親子のアパートにクリーニングを届けに行くと、部屋には光熱水費や家賃の督促状が散乱し、扉の空いた冷蔵庫の中は空っぽだった。
ショックを受けて店に帰る途中、クラクションを鳴らす1台の車から白井篤史(安田顕)が手を振ってきた。
音(有村架純)は白井(安田顕)の自宅に連れていかれ、ウエディングドレスを見せられる。
「ウエディングドレス1着で外車1台買えるんだよ」と自慢する白井(安田顕)。
高価なドレスを見せられても浮かない表情の音(有村架純)は、「お金貸してくれませんか。32000円」と頼む。
滞納に困っている伊藤親子のことを白井(安田顕)に相談するが「後先考えずに子供産んだ人なんて甘やかしたらだめだよ」と断られてしまう。
仕方なく音(有村架純)は自分の財布から3000円だけ封筒に入れ、玄関ドアの新聞受けに差し入れるのだった。
家に帰ると、養父(柄本明)は音(有村架純)に、21歳の娘をくれてやるんだから、ハワイでも連れていってもらえと言う。
すると、音(有村架純)は「おじさん、私ね、おじさんとおばさんにはすごく感謝しています。一生かけて恩返ししたいと思ってます。でも、ひとつだけお願いがあるの。好きじゃない人とは結婚したくないの」
と本当の気持ちを打ち明ける。
そんな音に対して養父(柄本明)は「恩知らずが」と罵る。
その時、突然養母(大谷直子)が発作を起こし、病院へ運ばれることになった。
後から病院へ走る音(有村架純)に、ちょうど練(高良健吾)が運転するトラックが通りがかる。
義母(大谷直子)の病状が落ち着き、病院から出てくる音(有村架純)を練(高良健吾)が心配そうに待っていた。
「家まで送ります」と言う練(高良健吾)に、ファミレスに連れてってと頼む音(有村架純)。
ファミレスは初めてだという音(有村架純)。
2人で仲良くメニューを選び、別々のものを注文し2人で分けて食べようと嬉しそうに話す。
オーダーがくるまで、二人はお互いの付き合っていた人の話題で相手の事を知ろうとする。
「付き合ってる人いる」と聞いてくる音(有村架純)。
「います」と答える練(高良健吾)。
「どんな人」と音(有村架純)。
「会社員」と練(高良健吾)。
その後も「どんな風に付き合ってるの」といろいろ尋ねてくる音(有村架純)。
音(有村架純)は「私も付き合ってた人いましたよ」と自分から話し出す。
「気象観測部の保利くん、中3から高3まで付き合って、結構好きでしたよ」
「保利くん今どうしてるんですか」と尋ねる練(高良健吾)に、「札幌の大学に行った」とどこか寂しそうに言う音(有村架純)。
「また、見つかりますよ。好きな人。やっぱり好きな人と・・・」と言いかけた練(高良健吾)に対して、話をはぐらかそうとする音(有村架純)だった。
ファミレスでの会話は続く。
しばらくの沈黙の後、音(有村架純)は「白井(安田顕)さんと結婚することにした」と言う。
養父母のことを思い、結婚を決めたのだった。
「さっき病院で決めた。ありがとう、手紙持ってきてくれて。あれって私のつっかえ棒だから」
雨の降る中、ファミレスで話しつづける二人。
ハンバーグを一口頬張ると、「あいしい」と幸せそうな表情の音(有村架純)。
別れ際、トラックのドア越しに「何でわざわざ東京から手紙持って来てくれたん」と音(有村架純)は問いかける。
真剣な顔で練(高良健吾)は「同じだ。俺にも親はいねえ。俺にもつっかえ棒がある」と言う。
うんとうなづく音(有村架純)。
家に帰ると、音(有村架純)は自宅から出てくる白井(安田顕)とバッタリ出会う。
白井(安田顕)は音(有村架純)に、「はっきりしない理由がわかったよ。林田さんにも話しておいた。娘さん、股の方のしつけもした方がよかったんじゃないですか」と言い捨てて帰っていく。
部屋に戻ると音(有村架純)はテーブルの上の骨壺がないのに気づく。
思わず養父(柄本明)の姿を探すと、洗面所の方から骨壺がころころ転がってきた。
そして、トイレの水を流す音がして、養父(柄本明)が出てきた。
愕然として膝まずく音(有村架純)。
養父(柄本明)は懲りずに、「山川さんの息子、離婚したそうだ。50過ぎてるんだけと、どうだ」と次の結婚話を持ち出す。
その相手は駅前に土地持って、駐車場も経営している男だった。
「いいよ」と放心状態のまま音(有村架純)は消え入りそうな声で答える。
そして、誰に言うともなく「いらない。私いらない。決して・・・」と呟くのだった。
それを見ていた養母(大谷直子)は「音、逃げなさい。あんたの好きな所へ行きなさい」と音(有村架純)を抱きしめ逃がそうとする。
出て行こうとする音(有村架純)に対して、「俺たちを見殺しにするのか」と追いかける養父(柄本明)を養母(大谷直子)は必死にしがみついて止めようとする。
大雨の中、警報のサイレン音が町中に鳴り響いている。
雨の中を必死で走る音(有村架純)の側に急ブレーキをかけて止まるトラック。
「引っ越し屋さ~ん」と叫ぶ音(有村架純)。
「乗れ」と練(高良健吾)。
音(有村架純)は激しい雨に打たれ、ずぶ濡れになっていた。
「靴は?荷物は?」と心配する練(高良健吾)に「いらん。何もいらん」と涙する音(有村架純)だった。
サイレンが鳴り続ける町から逃れてゆく二人。
トラックは夜の道路を駆ける
運転する練(高良健吾)の横顔をみつめる音(有村架純)。
ダッシュボードが開き、そこには母の手紙が入っていた。
音(有村架純)はその手紙を手に取る。
”音へ。今、真夜中の2時を少し回ったところです。いまが最後のチャンスかも。病院の方に便箋とペンをお願いしました。お母さんはそろそろ亡くなります。
時間が足りない。まだ、何もできてない。あなたを一人残してしまうの。
お母さんはもう髪を結んであげることもできません。でも、あなたを産んでよかったと思っています。”
そして、手紙を読みづづける。
”この子は人生を開く強い力がある。音、たくさんの人と出会ってね。あなたはいつか学校に行って友達を作るのかな。中学生になって、高校生になって誰かを好きになるのかな。どんな恋をするんでしょう。
恋はうれしいだけじゃなく切なくなったりもするね。時に人生は厳しいけど、恋をしている時は忘れられる。
恋をしていつかたった一人の人と出会えるといいね。
その人はきっとあなたの物語を聞いてくれます。
愛してます。どうか幸せに。”
手紙を読み涙が溢れ止まらない音(有村架純)。
夜の暗闇の中を走り続ける1台のトラック。
静寂の中、ワイパーの音だけが聞こえてくる。
やがて朝がやってくる。
練(高良健吾)は左前方を指さした。
そこには朝陽が昇っていた。
東京へ着くと、音(有村架純)は「友達が働いてるって聞いたから、しばらくお世話になれるか聞いてきます」。
練(高良健吾)は荷台から白桃の缶詰を1個とり、音(有村架純)に渡す。
「ありがとう。すぐ戻ってくるね」
雑踏の中に消えていく音(有村架純)。
音(有村架純)の帰りを待つ練(高良健吾)のもとへ、突然「れん」と呼ぶ声がする。
故郷の後輩だった小夏(森川葵)だった。
練(高良健吾)が待っているはずの場所に音(有村架純)が戻ってくると、そこに練(高良健吾)の姿はなかった。
理由もわからず一人、取り残される音(有村架純)。
それから1年が過ぎる。
東京で働く音(有村架純)の部屋のテーブルの上には、最後の日にもらった白桃の缶詰がそのまま置いてあった。
音(有村架純)は今も思っている。
「引っ越し屋さん。どこにいますか」
ある日、ガソリンスタンドで働く音(有村架純)のところへ1台の立派なリムジンが止まる。
後部座席の窓ガラスが下り、中から青年実業家が声をかけてきた。
ワイングラスを片手に「ねえねえ、きみも飲む?」。
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」第1話の視聴率は?
平均視聴率は11.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でした。
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」第1話の感想
奇跡のような出会いを果たし、練(高良健吾)と音(有村架純)は磁石のような吸引力で惹きつけ合います。
しかし、ラストで突然小夏(森川葵)が現れ、二人は離れ離れに。
しかも、それから1年も会えなくなるなんて、なんて運命の神様は意地悪なんでしょうか。
波乱の幕開けとなった第1話ですが、重たいシチュエーションの中、音(有村架純)の天然ともいえる明るさが救いでしたね。
今時、養子とはいえ、望まぬ結婚を強いられ、大事にしていた母親の遺骨もトイレに流されてしまうなんて、あまりにも不条理です。
でも、お母さんの手紙に書いてあったように、音(有村架純)は困難を切り開いていく強い力を持っているようですね。
「飴食べ」と関西弁で言うところなんか、まるで大阪のおばちゃんぽくて可愛かったですね。
一方、練(高良健吾)くんの冒頭の涙の意味は?辛い過去がありそうで、気になります。どんな秘密が隠されているんでしょうか。
最後、なぜ音(有村架純)を待っていなかったのか?納得できませんが、次回でその謎も解けると思います。
「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」第1話のまとめ
第1話からいきなり困難な状況に遭遇する練(高良健吾)と音(有村架純)ですが、二人の視線には必ず朝陽があります。
ドラマの今後を暗示しているようです。
さて、次回「新たなる日々」では、介護施設で働く音が見られます。
施設を経営する会社の御曹司(西島隆弘)が音(有村架純)に近づいてきます。
千穂子(高畑充希)や小夏(森川葵)と練(高良健吾)との関係も気になるところです。
恋って合わない時間に生まれるもの・・・練(高良健吾)と音(有村架純)の恋はどうなっていくのでしょうか。
コメント