20173月31日アメリカで、そして4月7日日本でも劇場公開が始まった映画「ゴーストインザシェル」。
原作は士郎正宗氏の漫画「攻殻機動隊」です。
これまで劇場版アニメやテレビアニメシリーズ、他にも小説やゲームなど様々なカタチの作品に展開されていますが、今回初の実写版、しかもハリウッド映画として製作されました。
原作では、日本が舞台で架空の未来都市とされています。
ハリウッド版では、原作の設定を大切にしたのか、アジアのテイストを取り入れた、おそらく日本と想像出来るような未来都市に作り込んだ世界感の中で物語が展開され、とても見応えがあるようです。
ただ、原作の主人公草薙素子は、当然日本人でありアジア人なのですが、ハリウッド版ではスカーレットヨハンソンが演じます。
明らかに白人です。
この、主人公がアジア人ではなく、白人が演じることに対しては、“ホワイトウォッシング”であると、アメリカを中心にSNS上で論争があったようです。
一方日本人は冷静で、ハリウッドで日本の作品が映画化される場合、白人が演じることが通例と、そんな論争が起っていることに驚いているようです。
さて、前述のように、アメリカと、原作を生み出した日本と、今回の「ゴーストインザシェル」原作からどう昇華し作り上げられたのか?
キャスト問題でも、その寛容さが既に違いますが、それぞれ作品に対してどういった評価となっているのでしょうか?
調べてみました。
ハリウッド版のあらすじ紹介!原作の攻殻機動隊とは?
まず簡単に原作の「攻殻機動隊」について触れておきます。
1991年に発表された、原作者の士郎正宗氏による漫画作品。
アジアが勝利した第四次非核大戦を経て、科学技術が発展した日本が舞台です。科学が飛躍的に進化したことにより、インターネットを直接脳と繋げることが出来る“電脳化”という技術が発展し、この頃の人間は生身の人間、一部ロボット化した人間、サイボーグと、いろいろ混在する世の中となっています。
そんな世の中ですから、テロなど国家を揺るがすような犯罪も高度化することが想像できますね。
同時に治安を守るために、同じく高度な科学技術を駆使した警察組織が必要になります。攻殻機動隊は、そんな時代の公安警察を描いた物語です。
そして、ハリウッド版では前述の原作設定をベースに、脳以外は全て義体化(サイボーグ化)された主人公“少佐”(スカーレットヨハンソン)率いる公安警察のエリート組織“公安9課”が、テロやサイバー犯罪を日々取り締まっていました。
そんな時、あるテロ組織の調査に乗り出した少佐、深く事件に関わる内に、義体化前の失った記憶を取り戻し、驚愕の過去を知ることに・・・。
“義体化”とか、“電脳化”とか、人工知能技術が進む今の時代に繋がるようなお話しですね。
映画ゴーストインザシェル・アメリカでの評価は?
アメリカでの評価はイマイチのようです。
特に評論家の評価が、アメリカの大手映画批評サイト「Rotten Tomatoes」の4月現在の結果から支持率が42%と半分にも満たない低評価でした。
特に多く寄せられている感想としては、「ストーリがひどい」「辻褄が合わず、感動もない」「先が読める退屈なストーリー」など、脚本に関するネガティブなコメントが散見しています。
また、他にも「アクションも演技も下手」など、役者に対する批判もありました。
原作漫画やアニメからのファンも多くオリジナルストーリーと文化を無視し、日本的で、哲学的なストーリー性がなく、メインテーマの“人間の魂”の「魂」部分が感じられないといった主旨の辛辣な意見や、原作のよい要素を取り入れず、ハリウッド的な娯楽映画になっていると、ハリウッド批判まで繰り広げられる始末。
ただ、共通して多くの人が評価しているポイントとしては、映像のクオリティに関してです。
その映像美には多くの関心と感動が寄せられていました。その辺りのこだわりや、ダイナミックな技法や発想・演出は流石ハリウッドなのでしょう。
映画ゴーストインザシェル・日本での評価は?
日本での評価も、おそらく原作漫画やアニメ映画からのファンにとっては評価がイマイチなきらいがあります。アメリカと共通する点は、やはり脚本がイマイチというところ。
ただ、原作に軽く触れた人、まったくの初見の人にとっては、哲学的で複雑な日本のストーリーは、その物語に入り込むまでやや時間を要するらしく、今回のように単純明快にしたストーリー展開は、初めて作品に触れる人にとっては見やすく、映画としての映像美をじっくり堪能出来たようです。
まとめ
アメリカも日本も賛否両論といったところでした。
映画をよく見る人、原作からのファンといった、コアな人たちにとっては、ストーリー性に欠け、故に素晴らしい技術による映像美も単純に楽しめなかったようですね。
一方で、この作品が「攻殻機動隊」関連の作品に触れる初めての機会という人にとっては、単純にハリウッド映画として楽しめた作品だったようです。
私は映画を見るにあたり、ストーリーはとても重視しますが、最近は設定が複雑過ぎたり、哲学的でいろんな解釈を楽しむような作品については、映画館の大画面で見なくてもいいかなという気がしています。
何故ならストーリー性の共有は他人と同じ空間では白けてしまうから。分かりやすく言うと人前では泣けないからですね(笑)
だから日本映画の殆どは、映画製作者には申し訳ないのですが、DVDを自宅でじっくり見るほうが好きです。
そういう意味では、今回の「ゴーストインザシェル」は映像美を堪能できるエンタメ性のある映画のようなので、ぜひ映画館で見てみたい。
その日しか余韻は残らず、内容に関しては翌日にはさっぱり忘れてしまうかもしれませんが、1800円分のエンタテイメントとしては十分に楽しませて頂けるのでは?と大きな期待を寄せています。
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